第105回全国高校野球選手権記念大会第5日(10日)の第2試合に登場する北海(南北海道)に、元プロ野球選手の父を持つ「代打の切り札」がいる。背番号18の外野手・堀田晄大選手(3年)だ。甲子園を目指し、地元の神奈川を離れて父の母校・北海に進学。長身を生かした打力を武器に、かつて父もプレーした夢舞台へ乗り込んできた。
物心ついたときから野球は生活の一部だった。幼少期を振り返って思い出すのは、子供用のグラブを片手に父とキャッチボールで遊んだ風景だ。
父一郎さん(49)は、北海から中央大を経て、ドラフト6位で1997年に巨人に入団。外野手として2006年までプレーした。堀田選手も後を追いかけるように5歳で巨人の少年野球スクール「ジャイアンツアカデミー」で野球を始め、小、中学校では地元のクラブに所属して主に投手として頭角を現していった。
「寮生活で自主性を学びながら、甲子園を目指せる学校に行きたい」と進路を考えているうち、父の母校・北海が魅力的に思えた。友人が一人もいない北海道に引っ越すのは心細かったが、「逃げられない場所で自立したい」と自身を奮い立たせ、進学を決めた。
投手として入部すると、同級生の実力の高さに驚いた。「くま(熊谷陽輝選手)はキャッチボールの速さから段違いだった。やばいところに来ちゃったなと思った」。今大会でもメンバー入りしている岡田彗斗、橋本理央の両投手らも含めた投手層の厚さに「かなわない」と野手に転向。その後は打撃と守備を集中的に鍛えてきた。昨秋の道札幌地区大会で代打で公式戦初出場。いきなり適時三塁打を放ち、非凡さを示した。
強みは、父譲りの181センチの長身と長い手足を生かした長打力だ。寮でも毎日のように素振りを続け、選手たちの生活を見守る立島満弘さん(65)らから「寮生で一番バットを振っている」と評されるほど。大きな構えでボールを捉え、遠くに飛ばすことを意識し、北海時代の一郎さんを知る人から「お父さんに打ち方が似ている」と言われることもある。
白球と向き合う横顔は真剣そのものだが、練習後の素顔はあどけない18歳だ。甲子園入りし、北海道とは異なる猛暑の中での練習は「動きたくなくなるくらい暑くて、だらけそうになっちゃう。そこをこらえて頑張ってます」と冗談めかして笑う。飾らない性格の一方で、10日の明豊(大分)との初戦に向けては「代打の少ない機会で決めることを期待されている。打席に立つ機会が回ってきたら、悔いの残らないフルスイングをしたい」と気合は十分だ。
一郎さんは高校時代、92年夏の甲子園に出場したが、無安打に終わった。「せっかくの甲子園、楽しんでこいよ」と激励してくれた父に、「1本打てたよ」と良い報告を届けたい。北海の切り札は、虎視眈々(たんたん)と出番を待っている。【後藤佳怜】
父は元巨人外野手 出番待つ北海の「代打の切り札」 夏の甲子園 - 毎日新聞
Read More
No comments:
Post a Comment