C大阪は19日、元日本代表FW大久保嘉人(39)が今季限りで現役を引退すると電撃的に発表した。2度のW杯に出場するなど日本代表でも活躍し、記録と記憶に残る名ストライカーに成長。前人未到のJ1通算200ゴールへ残り9点に迫るが、プロ21年目の今季でユニホームを脱ぐことになった。22日に引退会見を行う。天皇杯準決勝を突破すれば、12月19日の決勝(国立)が現役最後の舞台となる。

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大久保の現役引退が電撃的に発表された。クラブを通じ、本人は「今季をもちまして引退することを決断しました。(これまで)苦しいことが一番多かったかもしれません。それが自分を強くしてくれたと思う」などとあいさつ。サポーターや関係者に感謝し「サッカー人生で学ばせていただいたことを生かして、また一からいろいろなことを学び、頑張っていきたい」などとコメントした。

15年ぶりに復帰したC大阪では今季、ここまで6得点。開幕直後に上位争いをした原動力となり、J1通算最多記録を更新する191得点(474試合)をマーク。前人未到の200得点の大台が迫り、クラブからは40歳になる来季も契約延長の提示を受けたばかりだった。

この日の発表では引退の理由は明かされていないが、関係者によると、大久保は「現役続行の思いもあったが、一方で少しでも引退を考えた自分は、正直に引退するべきだと思った」と報告したという。家族や森島社長には、今週半ばに結論を伝えたようだ。

今季ここまで26試合に出場し、先発は16試合。けがが重なった5月以降、出番は減ったものの体力、技術は通用していた。今季開幕前に「完全燃焼したら引退するという美学ではなく、自分の感性で『もういいや』と思えば、やめる」と明言した通り、本人にしか分からない感性の問題があったのかもしれない。

国見から01年にC大阪でプロ生活を始め、川崎Fでは史上初の3年連続得点王を獲得。類いまれな得点感覚で日本代表でも活躍し、記録にも記憶にも残る名ストライカーだった。来季もC大阪に残り、アンバサダーなどの役職に就く可能性があり、指導者の勉強も行うという。今季はJ1残り3試合と、勝ち残る天皇杯準決勝を突破すれば、国立での決勝が大久保の最後の勇姿になる。【横田和幸】

◆大久保嘉人(おおくぼ・よしと)1982年(昭57)6月9日、福岡県生まれ。国見から01年C大阪入り。07年以降は神戸、川崎Fなどに所属。2度の海外移籍も経験。川崎Fで13年から3年連続得点王。J1通算474試合191得点。日本代表として04年アテネ五輪、10、14年W杯に出場。国際Aマッチ通算60試合6得点。170センチ、73キロ。

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