1回戦に続き、2回戦も5セットにもつれる試合となった。1回戦が4時間3分、第23シードのカレン・ハチャノフとの2回戦は3時間59分かかった。試合後の記者会見で錦織圭は、英国の個性派記者ジョナサン・ピンフィールドの問いかけに「もう5試合はやったような気がしている」と冗談で返したが、試合中盤の動きは確かにガス欠状態を物語っていた。
「魂が抜けたというか、あの場面はつらかった」
調子を戻した第2セットは6-2で取ったが、第3セットは逆に2-6。第2ゲームで5度のブレークポイントを逃し、次のサービスゲームを落とす、嫌な流れだった。初戦の疲労が回復しきっていなかったのか、序盤からエネルギーが足りていないように見えた。試合が進むにつれて、ショットの出来不出来も目立ってきた。フットワークが鈍り、下半身からパワーを発生させることもできずに「手打ち」になっていた。必然的にショットは威力と安定性を失った。
この頃から空が荒れ模様になり、強風がコートを舞った。サーブのトスは流れ、風下からのグラウンドストロークは勢いが失われる。大胆かつ繊細な錦織のテニスにとって強風は大敵だ。過去に何度かあった、典型的な負けパターンと思われた。錦織はこの時点の心境を試合後に明かしている。
「3セット目を取られて呆然としていた。(挽回して勝つためには)また5セットを戦うのかっていうのと、『戦いたいか』って自分に問いかけたときになかなか答えが出なかったので。魂が抜けたというか、あの場面はつらかった」
だから、第4セットを錦織が取ったのは、勝負の神様の気まぐれな差配のようにも思われた。実際、セットが終盤に差し掛かると、あれほど荒れ狂っていた強風が徐々に収まっていった。だが、もちろん錦織の側にも幸運を受け入れる準備は整っていたのだ。「呆然としていた」の一節のあとに錦織はこう続けている。
2試合で“8時間超”を勝ちきって…錦織圭が直後にぼやいた「テニスってめんどくさいですね」の真意(秋山英宏) - Number Web - ナンバー
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