井上のプロ6戦目となったエルナンデス戦 Photo by gettyimages
2023.12.21
井上尚弥vs.マーロン・タパレスの世界スーパーバンタム級四団体王座統一戦が行われる12月26日まであとわずか。井上選手にとって26戦目となるこの試合で、バンタム級に続く四団体王座統一はなるのか? 試合をより深く見るための必読書と言えるのが『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』(森合正範著、講談社)だ。
本書のなかから井上選手が日本ボクシング史上最速(当時)となるデビュー6戦目で世界王座についたエルナンデス戦を取り上げる。
vs.アドリアン・エルナンデス(メキシコ)
2014年4月6日 東京・大田区総合体育館 6ラウンド 2分54秒 TKO
WBC世界ライトフライ級王座獲得 井上の戦績 6戦全勝5KO
メキシコは圧倒的に王者エルナンデス有利の雰囲気

戦績を見れば、32戦29勝18KO2敗1分けの王者に対し、WBC世界ライトフライ級4位の井上は20歳で5戦(5勝4KO)の経験しかない。前戦で地域タイトルの東洋太平洋王座を獲得したばかりだった。
脂の乗った28歳のエルナンデスには自信があった。得意の接近戦には磨きがかかり、この階級ではパワーも突出している。前戦は一方的な3回TKO勝ちでダメージはない。練習の蓄積もある。
「自信過剰になったわけではないけど、これまでの経験を考えたら井上は僕のプロのパンチを感じることになる。こっちが有利な展開になると思っていた。たとえ厳しい試合になったとしても、最終的に勝つのは自分だと考えていたね」
メキシコ国内でも圧倒的に「王者有利」の雰囲気が漂っていた。エルナンデスの不利を予想する者は皆無に等しい。それどころか、「イノウエ」「モンスター」の名はまだメキシコに届いていなかった。
エルナンデスは井上のビデオを2試合チェックした。
「左のボディー打ちが巧いな」
その程度の印象しか残らなかった。
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