大リーグのGMミーティングが行われているアリゾナ州の高級リゾート ホテルは日差しが強く、のんびりとした雰囲気が漂った。屋外のくつろぎスペースで始まったアメリカン・リーグのGM取材。多くのGMが余裕の表情で記者と友好的な対話をする中、記者に囲まれて、まるで「格闘技」のように舌戦を繰り広げる一群があった。ヤンキース・キャッシュマンGMとニューヨークメディアだ。
ヤンキース・キャッシュマンGM（阿部太郎撮影）
今季、7年ぶりにプレーオフを逃した名門。この責任問題の追及で、うるさ型のNYメディアから激しく、批判的な質問が飛んだ。それに、キャッシュマンGMも応戦。データに頼りすぎていないか？と問われると、「ア・リーグ東地区で一番、データに頼っていないチームだ。何も掘り下げず、ウソばかりだ」。テレビで「ピー」が出るような言葉も放ち、アリゾナの陽気はかき消され、殺気がみなぎった。
その殺気が一瞬だけ揺らいだのが、山本の質問だった。キャッシュマンGMのほおが少し緩み、9月9日に自ら日本に足を運んで見た山本のノーヒットノーランの試合について愛があふれた。だが、その質問が終わると、また「戦闘」が始まった・・・。
改めて、ヤンキースというチームの異質さ、厳しさを感じた。松井秀喜さんがMVPに輝いた2009年以来、一度も頂点に立っていない。NYメディアは常に話題を探し、そして、結果が出なければ、痛烈に批判する。
ふと、大谷翔平がヤンキースに入ったら、大変なことになるなと思った。大谷は今季8月9日を最後に、メディアの前で公に話していない。これがヤンキースだったら、NYメディアが黙っていないだろう。「ヤンキース・大谷」は、今のところ想像ができない。（阿部太郎、写真も）
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