3月に開催される「カーネクスト2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンド東京プール」の日本代表「侍ジャパン」のメンバーに中日から唯一選出された高橋宏斗投手(20)が27日、ナゴヤ球場で決意を語った。「世界一になるためにいい準備をしたい」と意欲満々の侍最年少右腕は働き場所を選ばず、存分に腕を振る覚悟をにじませた。
侍発表から一夜が明け、高橋宏は開口一番、喜びと決意を語った。「(昨年11月の)強化試合から本戦への準備を進めてきた。今は選ばれてホッとしている。その分責任や自覚が必要。頑張りたい」。雪が降りしきるナゴヤ球場で、右腕の口調は熱を帯びていた。
スマートフォンが鳴ったのは数日前。栗山監督から吉報とともに「日本のために一緒に戦おう」との言葉を送られた。「選ばれるか気になっていたときに電話が鳴った。本当にうれしかった」。不安が吹き飛ぶとともに、胸に熱いものが込み上げる。二つ返事で世界一を目指す意志を伝えた。
パドレス・ダルビッシュ、エンゼルス・大谷らメジャーリーガーに加え、オリックス・山本、ロッテ・佐々木朗ら球界屈指の実力者で構成される「最強投手陣」。その中で求められる役割も自覚する。「自分はどこでもいけるように」。中日で担う先発のみならず、投球数が制限される国際大会ならではの役割「第2先発」、さらに1イニングだけの中継ぎ登板も想定。勝利へのピースの1つになる準備は整えてきた。
実に6年ぶりの開催となる野球世界一を決める祭典。過去4回にわたって「侍ジャパン」が紡いできた歴史は右腕もよく知っている。第1回大会で、当時レンジャーズの投手だった大塚投手コーチが三振を奪い、初代王者に輝いた瞬間は、まだ3歳だったが記憶にある。第2回大会決勝で生まれたイチローの決勝打は映像を何度も見た。そして「第4回準決勝米国戦の菅野さん(巨人)と千賀さん(現メッツ)の投球は本当にすごかった」。日の丸を背負って戦う先輩たちの姿を今度は自分が見せる番だ。
まずは2月1日から始まる春季キャンプ。「まずはチーム内の競争。キャンプインの時点でここまでできるんだぞ、と立浪監督や落合ヘッドにアピールしたい」と意気込む。実戦での登板予定などは首脳陣と相談して決め、最高の状態で侍ジャパンが合宿を張る宮崎へ乗り込むつもりだ。
この日はナゴヤ球場に隣接する屋内練習場のブルペンで味谷を座らせると、持ち球を全て投じ計43球。「世界一になるために自分も一選手として全力で腕を振っていきたい。一番注目度が高いと思うので、しっかり準備をしたい」。侍としての自覚は十分。日の丸のユニホームに袖を通す瞬間まで刃を研ぎ澄ましていく。
吉報を受ける一方で、高橋宏は3年目に向けた準備も着々と進めていた。昨年12月上旬から今月26日まで、オリックス・山本とともに自主トレしていたことを明かし、「レベルアップできた」と手応えをにじませた。
自信に満ちた表情は充実した時間が過ごせたことを物語る。「いい目標というか、こんな人がいるということを知った2カ月でした。本当にいい時間を過ごせた。今後自分がどうなるかが自分でも楽しみ」
「がんがんウエートするタイプじゃない僕が目指す先」と山本への弟子入りを志願。昨年秋、オリックスで同僚だった後藤に連絡先を取り次いでもらった。2カ月間、練習のみならず、ほぼ行動をともにした。同じ空間を共有して驚いたのは意識の高さ。何でもないときに突然ストレッチを始めることも。「私生活も含めてあの人は野球につなげていた」。成功の秘訣(ひけつ)の一端を見た。
この日は、他の選手たちが帰った昼過ぎからナゴヤ球場でやり投げのジャベリックスローを用いてトレーニング。「いろんなことに取り組んでいるので、見てほしい」。球界ナンバーワン投手との自主トレを経て進化する高橋宏から目が離せない。
関連キーワード
中日唯一の侍ジャパン高橋宏斗がダルビッシュや大谷ら「最強投手陣」での自覚と気合:中日スポーツ・東京中日スポーツ - 中日新聞
Read More
No comments:
Post a Comment