春季キャンプで取り組んできた“ベリー・スモール・ベースボール”が、本拠地初采配で実った。日本ハム新庄剛志監督(50)がヤクルトとのオープン戦(札幌ドーム)を1-0で制した。7回1死一塁から盗塁と犠打で好機を広げ、自身が「ペッパー師匠」と名付けた佐藤龍世内野手(25)が、右中間にポテンと落ちる適時二塁打。期待する3投手の完封リレーもあり、OP戦では15年ぶりの1安打勝利に「計算通り。いや~、楽しかった!」と満点の好発進だ。

先制の瞬間、BIGBOSSは両手を頭上に広げて、子どものようにピョンピョンと跳びはねた。7回1死一塁から盗塁とセーフティー気味の犠打で2死三塁とし、佐藤の右中間に落ちるポテン二塁打で虎の子の1点をもぎ取った。「オレ言ってたんですよ。“ペッパー師匠”が打って、点数が入るって。計算通り」とニヤリ。「いや~、楽しかった! じっとしたいけど、じっと出来ない」。機動力でチャンスメークし、1安打で勝つ。「スモール・ベースボール」の極致のような痛快勝利に、身をよじって笑った。

2月に沖縄で鍛えた若手の好プレーが、うれしかった。「追い込まれた後はペッパー打法(投手方向に軽く打ち返すこと)」という教えが、浸透してきている。中でも、体現しているのが佐藤で、BIGBOSSから“ペッパー師匠”の異名を授かった。この日も、カウント2-2から軽打を心掛けて適時打。「前に飛ばしたら何かあると食らい付いた」と胸を張った。

守備では4回、途中から中堅を守っていた細川がフライを捕球後、中-遊-三と流れるような連係で併殺を完成させた。7回には左翼を守ったのは小6以来という田宮が、持ち前の強肩を生かして左翼からノーステップで二塁へ送球し、同じく補殺を記録。指揮官は「キャンプからやってきた連係プレーが大きい」とご満悦で、「守りで勝つ。1安打で勝つ試合を60試合くらいやりたい。これは最高」とうなずいた。

日本ハムの一員として、16年ぶりに札幌ドームで背番号1を披露したスター監督には、究極の目標がある。「ドキドキする試合がシーズン中も続けば、球場に見に行こうとなる。(安打)0本で勝ったらすごいよね。多分、できるよ。うち」。ノーヒットでの勝利に、照準を合わせた。【中島宙恵】

○…BIGBOSSの本拠地初采配となる平日ナイターを、NHK札幌放送局が地上波で生中継。同局関係者によると、日本ハムが04年に本拠地を東京から北海道へ移転して以降、日本ハムのオープン戦を放送するのはデーゲーム開催も含め初めて。新庄監督は「教えてくれていたら(試合時間を)延ばしていたのに…。今後もやるんですか?」とアピールしていた。

▽日本ハム細川(4回1死一、二塁で中飛を処理し、三塁を狙った二塁走者を中継プレーで刺し)「深い打球だったので、低い球で強くという意識で、良いラインに投げることができたと思います」