大リーグの今季のMVPが18日に発表され、ア・リーグではエンゼルスの大谷翔平選手が満票で受賞した。事前に少なからずの投票者と話す機会があり、そこで現地記者たちのおおよその論調はわかっていたため、大谷のMVP受賞はおろか満票ですら、驚きではなかった。
投打両面で好成績を出し続けた2021年の活躍はそれほど際立ち、常軌を逸していた。このまま二刀流を継続すれば、毎年のようにMVP候補になる可能性すら感じさせている。そこまで考えて思い出したのは、スポーツ専門局ESPNのマーリー・リベラ記者が述べていたこんな意見だ。
「大谷MVPの反対意見があるとすれば、“投打の貢献を合わせて大谷をMVPに選ぶのなら、今後、彼が似たような活躍をしたらずっとMVPに選び続けなければいけなくなる”というもの。その問いへの答えはわかりませんが、少なくとも初めて二刀流をシーズンを通じてやり遂げた今季は彼が選ばれるべきというのが私の意見です」
実際に今季の大谷は投打の両方でハイレベルな働きをし、その貢献度が加算されることで、MVP選考でもダントツの評価を得た。近年、MVPを選ぶ際に注目されるデータである勝利貢献度指数「WAR」でも投手で4・1、打者で4・9で合計9・0。それぞれのカテゴリーでトップだったわけではないが、全体2位に入ったザック・ウィーラー(フィリーズ)の7・7、ア・リーグのMVP最終候補に残ったウラジーミル・ゲレーロの6・8、マーカス・セミエン(ともにブルージェイズ)の7・3に合計数値で大きく差をつけたことが多くの記者たちの選考の決め手になったことは容易に想像できる。これまで投打両方で4・0を超えた選手は一人もいないとか。今季の大谷がとてつもないシーズンを過ごしたことが見えてくる。
ただ、リベラ記者の指摘通り、来年以降、選者たちはより難しい選考を強いられる可能性もあるのだろう。今季のような活躍なら誰も文句はないはずだが、来季、大谷の二刀流での数字がやや落ちたとしたら?それでも「WAR」のような指標の合計で依然としてトップならばMVPに選ばれるのか。あるいは二刀流も2年目以降は評価が多少厳しくなるのか。たとえば「WAR」の合計数値で他の候補をほんの少し上回るような成績だった場合、全米の記者たちが頭を悩ませる姿が目に浮かぶようでもある。
これまで二刀流を継続することで大谷はさまざまな議論を呼び起こしてきたが、これもまたスケールの大きな話である。シアトル・タイムズのライアン・ディビッシュ記者は「こんな選手は見たことがなかったし、これから先もできるのは大谷だけだ」と述べていた通り、実際にこのような疑問を提起できる選手は他には誰もいない。そして、今季のとてつもないプレーを見せられた後で、来季も結局はMVP選考でも何の文句も残らない成績を残しても全く不思議はないように思えてくる。(杉浦大介通信員)
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来年以降のMVPの選考どうなる? 二刀流・大谷だからこそのスケールの大きな疑問提起に - スポーツニッポン新聞社
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