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Tuesday, July 27, 2021

担当記者は見た!:体操・村上茉愛 感情豊かなエースの笑顔が消えた日 - 毎日新聞 - 毎日新聞

床運動の練習をする村上茉愛=東京・有明体操競技場で2021年7月22日、宮間俊樹撮影
床運動の練習をする村上茉愛=東京・有明体操競技場で2021年7月22日、宮間俊樹撮影

 ショートカットに、大きな瞳。体操女子の村上茉愛(日体ク)は、今日もはじけるような笑顔を見せる。楽しければ笑う、悔しければ泣く。うれしくても泣く。感情表現が豊かなエースは、たくさんの笑顔と涙を見せながら東京オリンピックの舞台にたどり着いた。そんな日本のエースからトレードマークの笑顔が消えた日があった。「見捨てられるかも」と。

 相模原市生まれ。体操経験のある母の勧めで3歳から体操を始め、小学6年の時、後に代名詞となるH難度の大技「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」を成功させ脚光を浴びた。

 2013年世界選手権に高校2年で出場し、その後、名門の日体大に進んだ。17年世界選手権では得意の床運動で優勝。世界選手権の日本女子の金メダルは1954年に平均台で池田敬子(旧姓・田中)さんが獲得して以来、63年ぶりの快挙だった。18年世界選手権では個人総合で銀メダルと総合力でも世界と戦えることを証明した。

見捨てられるかもしれない

 しかし、その後に試練が待ち受けていた。19年は持病の腰痛が悪化し、5月のNHK杯は試合当日、会場入りしながら棄権を決断した。それは、その年の世界選手権の代表入りを断念することを意味した。大粒の涙をこぼしながらフロアを離れる村上の小さな体からは苦しみがにじんでいた。その後、体を引きずるようにして報道陣の前に現れ、腰の状況や思いを丁寧に説明してくれた。歩くのもつらく、服も着替えられないほどの痛みだった。大学の寮に戻っても、部屋で一人で泣いていたという。

 「別に自分がいなくても、みんな(ちゃんと試合を)できるだろう」。もう必要とされなくなるかもしれない。見捨てられるかもしれない。村上はそう思った。

 そこまで気持ちが追い詰められたのは過去の苦い経験がある。…

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