<国内女子ゴルフツアー:フジサンケイ・レディース>◇最終日◇25日◇静岡・川奈ホテルGC富士(6439ヤード、パー71)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)◇有観客開催
2位で出た稲見萌寧(21=都築電気)が、逆転で今年4勝目、昨年と統合された今季としては5勝目を挙げた。
5バーディー、1ボギーで3日連続の67で回り、通算12アンダー、201。2位の山下美夢有に3打差をつけた。優勝の瞬間は、両手を突き上げて喜んだ。優勝賞金1440万円を加え、シーズン獲得賞金が初の1億円を突破。賞金女王争いでは笹生優花を抜き、小祝さくら、古江彩佳に次ぐ3位に浮上した。
◇ ◇ ◇
今年8戦目にして4勝目に、ホールアウト後は「ものすごく自分でもビックリ。オフはどうなっちゃうのかという状態だったので、ここまで上位で戦っているのがすごいこと」と、笑顔で話した。これまでの今季の4勝は全て無観客開催。プロ初優勝だった19年センチュリー21レディース以来となる、ギャラリーの前での優勝に、表彰式の優勝インタビューで「皆さまの前でカップを掲げられることができて、本当にうれしいですし、皆さまの応援が最後の後押しをしてくれたと思います」と、声援に感謝した。
出だしの1番パー4で、ティーショットを左バンカーに入れた。だがバンカーからの第2打を6メートルにつけると、下りの難しいパットが残った第3打を、ラインを読んで決めた。怪しい雲行きになりかけたが、一転してバーディーと好発進。9アンダーとし、同組で回るスタート時点で首位の山下美夢有に並んだ。さらに2番パー4で、フェアウエーからの第2打を1・5メートルにつけて連続バーディー。単独首位に立った。さらに4番パー5では、第3打をわずか20センチにつけて楽々バーディー。2位に浮上した申ジエに2打差をつけて折り返した。
5番から9ホール連続パーセーブ後の14番パー4で、稲見がリードを広げた。第2打を1・5メートルにつけると、申ジエがボギー。明暗を分けるバーディーパットを決め、3打差とすると、右手でこの日初めてガッツポーズをつくった。直後の15番パー4でボギーとし、両膝をついて崩れたが、10メートル近いパーパットがわずかに届かなかったもの。むしろパットのタッチはさえていた。16番パー5でボギーの申ジエが3位に後退し、山下に入れ替わった2位とは3打差に広げた。続く17番パー3では、山下もボギーと落とし、パーセーブで再びガッツポーズの稲見は2位と4打差。優勝に大きく近づいて、最終18番に臨んでいた。
前日の第2ラウンド終了後には「最後の5ホールくらいで、自分の位置で気持ちの切り替えとかを頑張りたい」と、最終日の戦いぶりを見据えていた。言葉通り、最後の5ホールで突き放す強さを発揮。今年8戦目で4勝目、勝率5割という現在の稲見を物語る強い勝ち方だった。
東京五輪の出場権を左右する世界ランキングは、稲見は現在39位だが、これで38位の鈴木愛を抜くのは確実だ。畑岡奈紗、渋野日向子、古江彩佳に次ぐ日本勢4番手に浮上することになり、目標として言い続けてきた五輪出場の可能性が、夢物語ではなくなってきた。
◆稲見萌寧(いなみ・もね)。1999年(平11)7月29日、東京生まれ。9歳でゴルフを始める。18年のプロテストに高卒で1発合格。昨年のセンチュリー21レディースで初優勝。168センチ、58キロ。名前はフランスの画家と同じ読み方だが由来は「クロード・モネではないみたいです。世界に出ても覚えてもらえるように、つけてもらいました」
<稲見萌寧の優勝クラブ>▼1W=キャロウェイ マーベリックサブゼロ(シャフト=USTマミヤ ジ・アッタス5、硬さS、ロフト10・5度)▼3W=ダンロップ スリクソンZX(15度)▼5W=同(18度)▼ユーティリティー=ブリヂストン TOUR B JGRハイブリッド(4U22度、5U26度)▼アイアン=5I~PW=テーラーメイド P770▼ウエッジ=タイトリスト ボーケイ SM8 52-08F(52度)、同SM8 58-08M(58度)▼パター=テーラーメイド トラスTB1▼ボール=ブリヂストン TOUR B XS
◆女子ゴルフの東京五輪代表選考 6月28日付の世界ランキングに基づく五輪ランキングで、出場60人が決まる。各国上位2人に出場権が与えられ、五輪ランキング15位以内に3人以上いる国は、最大4人まで出場権を得る。4月19日付の最新世界ランキングで日本勢は畑岡奈紗の10位が最上位。19位渋野日向子、24位古江彩佳、38位鈴木愛と続き、稲見は39位で5番手。
現状の順位なら、日本女子で出場権を得るのは畑岡と渋野の2人。世界ランキング15位以内に層の厚い韓国と米国勢は5人ずつおり、実質、出場がかなわない5人目などを除いた五輪ランキングでは、渋野は15位。稲見は五輪ランキングで日本勢2番手となるか、3、4番手でも渋野らとともに15位以内に入れば、出場権を手にできる。また、日本とフィリピン国籍を持つ笹生優花は、母の母国フィリピンで1番手で、フィリピン代表として出場する意向を示している。
稲見萌寧逆転V!今年8戦4勝 観客へ「応援が最後の後押しをしてくれた」 - ニッカンスポーツ
Read More
No comments:
Post a Comment